数多の遺跡が眠るまち 「ウィキペディアタウン in 与謝野温江」開催レポート

Translate this post

与謝野町温江は、4世紀頃にひときわ繁栄したと推測される丹後半島の中心的な地域のひとつです。数多くの古代遺跡や古墳が眠るこの町で、初となるウィキペディアタウンは、edit Tangoのメンバーのひとりuser:Ringo935が多忙な日々の癒しを求めて時折訪ねるという山麓の宿、かや山の家の協力のもと会場を貸切で行われました。

  • イベントの告知ページはこちら

(かや山の家 漱石の猫, CC0, ウィキメディア・コモンズ経由で )

edit Tango主催イベント2025/4/13 京都府与謝郡与謝野町「温江」地区

午前中のまちあるきではオーナーの青木さん自らハンドルを握り、ワゴン車で地区内を案内してくださいました。歴史の古い集落の面影を色濃く残した狭く落石などの危険も多い林道も含まれ、案内無しでは現地入りを諦めていた場所もありました。地元の方ならではの深い視点と語り口で、温江地区の知られざる魅力を私たちに伝えていただき、午後の編集活動へのモチベーションを高めました。

当日はあいにくの雨模様でしたが、滋賀県や愛知県など遠方から初めて丹後地方を訪れた参加者たちは、かや山の家に前泊しており、それにあわせてedit Tangoメンバーも前日のうちに現地の下見を行っていたので、青空の下の美しい山里の風景もウィキメディアコモンズに収めることができました。

(前日に撮影した温江地区内の風景 漱石の猫, CC0, ウィキメディア・コモンズ経由で )

参加者は、edit Tangoメンバーの他、Wikipediaを執筆したいが1人では難しいと考えていた未経験者や初心者が愛知県や滋賀県から、ウィキペディアタウンというイベントに興味がありノウハウを知りたいと考えていた人々が舞鶴市や園部町など京都府内の他地域から、また、そうした人々とこの機会に縁をもち各々の取り組みの発展につなげたいと考える市民活動家や大学教授など、14~15名でした。昨年秋にedit Tangoメンバーに新たに誕生した0歳児から、彼を曾孫のように可愛がる高齢者まで、その年齢層も幅広かったです。そのため、イベントとしては温江地区のWikimediaを充実させることが目的で開催されましたが、参加者にはそれは強制されず、それぞれに自分が参加できる時間内で、興味を持っている題材を追求し、Wikipediaを書いたり、下書きを進めたり、ウィキペディアンに長年気になっていたウィキメディアに関する疑問を相談するなどしていました。

このように参加者に自由度の高いエディタソンは、もともとwikipedia編集に慣れている参加者が大半のイベントであれば問題ないのですが、参加者の大半が初心者のイベントではスタブ記事の乱立になるか、イベントに参加してみたもののろくに編集活動ができなかったと不満を抱く参加者が続出するので、地方のウィキペディアタウンではあまり一般的ではありません。

edit Tangoが、今回多くの初参加者を迎えながら、こうした自由度の高いエディタソンが可能だったのは、ウィキメディア財団の助成金により他県から豊富なガイダンス経験を持つウィキペディアンuser:Asturio Cantabrioを講師として招聘できていたおかげです。筆者含め複数のウィキペディアンが執筆者兼講師として参加し、それぞれ2~3名の初心者に対して適切なタイミングで適切なサポートを提供することができ、参加者全員に満足度の高い結果をもたらしつつ、充実した内容の新記事を複数立項することができました。

(イベント最後の編集成果の共有の様子 漱石の猫, CC BY-SA 4.0 ウィキメディア・コモンズ経由で)

古代から人々が住んだ温江地区には、1000年以上の歴史を持つ神社が3つもあり、それらも今回のイベントでは対象になりました。イベントから2週間後の4月末には、それらの神社の例祭であり、与謝野町で最大の行事である「加悦谷祭」が、この温江地区でも盛大に行われます。

加悦谷祭のWikipediaは、数年前に筆者が個人的に立項し「良質な記事」にもなっているものですが、実際にこの記事をWikipediaに書いたことが他でどう役に立っているのか測る機会はありません。しかし、かつてこの記事のために調査したことや書いておいた内容も、今回のイベントではおおいに役に立ちました。土着の祭りのように地域の歴史的な営みと密接に関係する題材は、祭礼に直接かかわることは難しいイベントでは扱いにくい題材ですが、自由度が高いからこそできる個人での成果と、地域や参加者の皆さんと協力するからこそできるイベントでの成果、それぞれに、その状況でしか得られない利点を活かしあうことができる取り組みを、今年も続けていきたいと思います。

(加悦谷祭が行われている温江区内 漱石の猫, CC BY-SA 4.0 ウィキメディア・コモンズ経由で)

今回編集された記事

(前日に撮影した温江地区の風景 漱石の猫, CC0, ウィキメディア・コモンズ経由で )

Can you help us translate this article?

In order for this article to reach as many people as possible we would like your help. Can you translate this article to get the message out?